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世界の飼料製造に関する最新データと傾向について:『オルテック・アグリフードアウトルック2022』公開!

『オルテック・アグリフードアウトルック2022』で、
世界の飼料製造に関する最新データと傾向が明らかに

11回目となった今回の調査では、世界の配合飼料総製造量が前年から2.3%増加して
推定12億3500万トンに到達したことが明らかになった。
製造量上位10か国が世界全体の製造量の65%を提供している。

 

[米国 ケンタッキー州、レキシントン] オルテックは、今回より『オルテック世界飼料調査』から『オルテック・アグリフードアウトルック』へと名称を変えた毎年恒例の飼料調査のレポートを現地時間1月25日に公開し、その中で最新の飼料製造調査結果のハイライトを紹介しています。
世界的な新型コロナウィルス感染拡大は、昨年もアグリフードセクターに大きな影響を与え、サプライチェーンに課題をもたらし、そして新規テクノロジー及び環境持続可能性実現策の採用を加速させていました。

オルテック社長兼CEOのマーク・ライオンズ博士のコメント―「『オルテック・アグリフードアウトルック2022』で公開された結果は、私達の自信を強め、アグリフードセクターの未来を明るく照らすものでした。疾病やサプライチェーンの混乱及びCOVID-19がもたらした試練に対するアグリフードセクターのレジリエンス(回復力)と、一方で成長や現代化、そしてより持続可能な行動が確かに存在した証拠を目にすることができました。」
11回目となったオルテック世界飼料調査は140か国、28000軒以上の飼料工場のデータを網羅しており、これによると、2021年の世界の配合飼料総製造量は昨年比2.3%増で12億3500万トンに達したと推定されます。製造量上位10か国は中国(2億6142万4000トン)、アメリカ合衆国(2億3153万8000トン)、ブラジル(8009万4000トン)、インド(4405万9000トン)、メキシコ(3885万7000トン)、スペイン(3558万トン)、ロシア(3300万トン)、トルコ(2530万トン)、日本(2497万7000トン)、ドイツ(2450万6000トン)で、これらの国々で世界の総製造量の65%を占めています。また、これら10か国の総製造量は前年から4.4%増加していました。世界全体の製造増加率が2.3%であったことを踏まえると、上位国の勢いを窺い知ることができます。

 

調査結果の主要所見:

飼料製造量の増加が最も大きかったのは中国で、前年比で8.9%増加して2億6142万4000トンに達していました。この成長の背景にはこの国の飼料業界における継続的な統合化と現代化があります。養豚用飼料に関しては、食品残渣の活用から、プロフェッショナルな飼料製造者からの調達へと移行しました。その結果、商業的飼料製造量は、特に養豚セクターの成長と現代化に後押しをされて増加しました。
飼料製造量は調査対象国の約半数で予想通りとなった一方で、25%の国々ではレストランの閉鎖や飼料原料価格の高騰、アフリカ豚熱(ASF)の影響が続いていることなどから予想を下回る結果となりました。残りの25%は予想を上回る結果となりましたが、これは主にCOVID-19によるロックダウンの解除で輸出量が増加したこと等がその理由です。
昨年一年は、各国政府が温室効果ガス排出量削減のためのコミットメントを更新するなど、環境へのフォーカスが非常に強くなりました。ヨーロッパやアジアでは、多くの市場において政策が大きな推進力を持っていましたが、一方で南北アメリカでは消費者や民間セクターの動向の方が主な推進力でした。市場によっては温室効果ガス(GHG)排出の削減への強いフォーカスが存在した一方で、窒素排出規制へのフォーカスの方が強い市場もありました。

 

注目すべき畜種別結果:

家禽セクターにおいては、採卵鶏用飼料製造量がやや減少(1.4%)していましたが、一方でブロイラー飼料製造量は2.3%増加していました。採卵鶏セクターは多くの国で飼料原料価格の高騰や鶏卵価格の下落又は横ばい状態に苛まれていました。ケージフリーやフリーレンジ飼育は多くの国で需要が高まっており、アニマルウェルフェアに関する懸念もまた影響が大きいことが確認されました。
採卵鶏用飼料製造量は、ヨーロッパではノルウェー、ロシア、ウクライナ、ポーランドで最も大幅な減少が見られました。また、オーストラリアは4%もの増加を記録しましたが、アジア太平洋地域では減少が確認されています。
ブロイラー用飼料の製造量増加には、パンデミック下でレストランが閉鎖され、調理が簡単なタンパク源の需要が高まったことや、その他の食肉の価格が高騰するなかで手に届く肉であったことなどの要因が寄与していました。アジア太平洋地域では、中国とインドが増加のほとんどを占めており、南米ではペルー、ブラジル、パラグアイ、メキシコが地域の5%という大きな成長に寄与していました。

養豚用飼料の製造量は6.6%もの大幅な増加を記録しました。これは主に、アジア太平洋地域のASFからの回復によって促進されたものです。日本、韓国、マレーシア及び中国はASFの影響がなかったか又は回復できましたが、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムは引き続きASFの影響を引きずっているようです。またヨーロッパにはASFが発生していないか克服していても、中国からの需要減の影響を受けていまだに豚肉の余剰在庫という課題を抱えている国がありました。

酪農用飼料の製造量は1.9%増とわずかながら伸びました。アジア太平洋地域で最大の増加が確認されましたが、その最大の要因はインドでの増加です。COVID-19によるロックダウンが世界中で緩和され、医療セクターが再始動したことや、対面授業の再開などが全体的に牛乳の消費量を押し上げていました。一方でオーストラリア及びニュージーランドでは酪農用飼料製造量がそれぞれ6.7%及び2.5%減少していました。

肉牛用飼料製造量は世界全体で1.9%減少しました。肉牛業界は引き続きGHG規制や環境及び健康への影響に関する公衆からの受け止め等の課題に直面しています。ヨーロッパ地域は特に、COP26やEUグリーンディール、FEFAC Feed Sustainability Charter 2030等に対応するための努力の一環としてGHG排出削減に特にフォーカスしています。アメリカは2020年から持ち越されたために去勢牛や若雌牛の出荷が増えたことや牛肉の輸出需要が過去最大を記録したこと等により飼料製造量も増加していました。アルゼンチンでは牛肉の輸出減に伴って飼料製造量も大幅に減少し、また高率インフレや貨幣価値の下落もアルゼンチン国民の購買力に影響をもたらしていました。しかし、現在、アルゼンチンからの輸出規制は緩和されており、2022年の状況に影響を与える可能性があります。

水産養殖セクターは引き続き多くの市場で継続的に成長しており、世界全体で3.7%もの大きな成長が確認されました。循環型養殖システム(RAS)の導入が進み、また消費者による魚の需要は上昇傾向にあります。ASFの問題があった市場では、豚肉の流通量減少に伴って養殖セクターの成長が目立ちました。インドは養殖用飼料の製造量が9%も増加し、インドネシアはアジア太平洋地域全体の増加量の10%を占めていました。南米では、チリ、ブラジル、ホンジュラス、エクアドルがその地域の5.6%という大きな成長に寄与していました。

ペットフードの製造量は全てのセクターの中で最大の成長率である8.2%を記録しました。これは主に、COVID-19パンデミック下でペットを飼い始める人が急増したことが理由です。製造量が横ばいだった地域は存在しましたが、減少した地域は確認されませんでした。

 

注目すべき地域別結果:

北米では昨年対1.9%という堅調な成長を記録し、アメリカは中国に次いで世界二位の飼料製造国という地位を維持しました。
 南米は0.5%の製造量増を記録しました。ブラジルはこの地域の飼料原料生産を率いる立場を維持しており、飼料製造量世界3位という結果になりました。
ヨーロッパはASFや飼料原料価格の高騰といった課題に加え、最終製品の価格下落、反芻動物用飼料製造量の減少、COVID-19関連の規制等の影響を受けて、飼料製造量が前年比1.2%減となりました。
アジア太平洋地域は地域として5.7%という最大の成長率を記録しました。地域内には中国、インド、日本など製造量上位10か国にランクインする国が複数存在しています。
アフリカは原材料価格の高騰や口蹄疫の発生、そして動物由来食品の輸出に影響したり、地域によっては原材料不足を引き起こしたりした地政学的緊張という課題がありながらも2.4%の増加を記録しています。

 

最後に:

オルテックは世界各国の飼料工場や飼料業界、そして政府関連団体と協働してデータを収集し、毎年飼料製造に関する洞察を提供しています。配合飼料の製造量とその価格の情報は、2021年の第4四半期に各国のオルテックスタッフが国内の飼料関連団体と協力するなどして取りまとめています。ここに示された数値はあくまでも推定であり、業界関係者の皆様にご参考としていただける情報源となることを意図したものです。
インタラクティブなマップを含む『オルテック・アグリフードアウトルック2022』特設サイト(www.alltech.com/agri-food-outlook)にアクセスしていただくと、より詳細な情報をご覧いただけます。

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